二人で読む物語　初めての不倫　別れ③

初めての不倫　別れ③

2004/05/23 初めての不倫コメント : 0

M美からも何の反応も連絡もなかった…
僕にはそれがありがたかった。

どこかで会って恨み辛みを聞かされたり…
取り乱して、家に電話をかけてこられたり…
あるいは家まで押しかけてこられたり…

といった修羅場にならなくて済んだからだ。

その点でも彼女は最期まで「コンビニエンスガール」だった。

しかし…

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夏の終わり頃…

休日に女房とたまたま二人で庭にいたとき、郵便が届いた。
一通の茶封筒だった。
差出人の名前が書かれていないのを見て、

「こんなのが来た…」

と女房は僕に手渡した。
ふと悪い予感を覚えた僕は、

「おまえは見るな…ちょっと会社であったトラブルだから…」

と女房に言ってその封筒を開けた。
すると中から出てきたのは、M美と神戸一泊旅行に行ったときに、異人館で撮った唯一二人が一緒に写った写真だった。
何枚かある写真のすべて、僕の顔の部分が切り抜かれていた。
その写真を家へ送りつけてきたその行為に、M美の恨みが凝縮されていた。
彼女の思いがぐさりと僕の胸に突き刺さり、改めて自分がしたひどい仕打ちを申し訳なく思った。

「何だったの？　見ない方がいい？」

仕事がらみのトラブルだと思い込んでいる女房はそう言った。

「ああ…ひどい話だよ。」

そう言って僕は、女房に見られないように写真を封筒に戻し、焼却炉に投げ捨てすぐに火をつけたのだった。

僕の初めての不倫は、こうして終わった。

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