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海(♂)

Author:海(♂)
二人の出会いから、別れに至る…切なくも激しいラブ・ストーリー

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別れの予兆…その⑩

朝のメールに彼女からの返信はない…

僕には関係ないってことか?
僕なんかどうでもいい人間で、僕が勝手に心配してるだけってことか?

病院の結果がどうなのか?
少しは経過は順調なのか?
傷の痛みはどうなのか?

彼女のほっといてモードを感じて、自分からは連絡するまいと思っていた僕だが様子が分からないからそういうことが気になる。
それで夜、会社から、

「病院どうだった?痛いのは相変わらずなの?」

と送ってしまった。
そしたらその返事…

「切ったんだよ?痛くないわけないと思わない?」

ああ…また彼女の望む言葉をかけてやれなかったんだ…
今年初めの頃の喧嘩が思い出される…

「そうだけど、少しは和らいだかな、そうだといいのにと思ったんだよ…悪かったね、またイライラさせて…」

また返事はない…

その夜…

彼女のブログに新しい記事がUPされた…



別れたはずの彼女にとっての元彼からのメールが載せられていて、

「まだ痛いの?体調はどうなの?追い討ちをかけるように家族も友達も聞いてくるが、大丈夫?傷は痛い?そんな普通の言葉じゃなく、落ち込むだけ落ち込んだら前を見なきゃダメだよって。落ち込むことも認めてくれてる。そんな内容が嬉しかった…」

というようなことが書かれていた。

これが彼女の感性だと言ってしまえばそれまでなのだが、その言葉はまた僕にはある意味すごいショックだった。
これまでの放射線治療や、今回の手術や彼女の自殺未遂や…
ずっとリアルタイムで関わってきて、心配する僕や家族の言葉はうんざりで、たまに忘れたようなメールをやりとりしてる人間…元彼…
その人間のたっぷり時間をかけた考え抜かれた言葉が心に響くのは当然だ。
リアルタイムで毎日関わっている人間にそんな余裕があるわけないじゃないか!?

でも…

そのブログを読んだ後…

「本当にいつも分かってあげられなくてごめん…」

と僕はメールした。

「何が?」

「誠がどんなにつらいか…」

返事は来ない…

やっぱり話をしなきゃダメだ…

そう思って僕は思いきって電話をかけた…
どう転ぶか分からない…
でも何もしないよりはいい…

確かに23:00過ぎだった…

でも彼女だってその時間に平気で電話はかけてくる…

だからまだ起きてるかな?…と思った。








テーマ : 愛の軌跡
ジャンル : アダルト

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